| 岳朗さんのフォルクローレを満喫 9日の夜に行われた福井岳朗さんによるフォルクローレライブ。お集まりくださったお客様の9割方が女性という中、竹の縦笛「ケーナ」や、もともとはアルマジロの甲羅で作られていたという弦楽器「チャランゴ」など、フォルクローレならではの民族楽器をふんだんに駆使して、楽しくも奥深い、素晴らしい演奏を届けてくださいました。 そもそも岳朗さんと僕たちとの出逢いは、遡ること10年前の2002年の夏のこと。洞爺時代の僕たちの店で、中南米のフォンジュラスという国から来日していたフォルクローレの名手、フェリックス・ゲバラさんという人のコンサートをやることになり、そこに岳朗さんが助っ人として飛び入り参加してくれたのがきっかけでした。ゲバラさん目当てでお集まりいただいた方々の前で、ケーナやサンポーニャ、チャランゴにギターと、楽器を次々と持ち替えながら八面六臂の活躍ぶりを見せる岳朗さんに、お客様の目はすっかり釘付け。僕たち夫婦にとっては、まさに衝撃の初対面!といった感じでした。それ以降、公私ともに親しくお付き合いさせていただいてきましたが、あれから10年の月日が経って、このたびようやく、小樽で初めてのライブ開催が実現することとなりました。リハーサルのときには「なに?今夜のお客さんは女性が多いんだって?ライブの後に何かいい出会いがあったらいいんだけどね」(笑)など、ギャグ連発で和みモードだった岳朗さんですが、いざ本番が始まるとこの世界の第一人者ならではの職人芸を惜しげもなく披露。自らが考案、制作した「縄文式土笛」を使って、縄文時代をテーマにした曲を演奏したり、ケーナの伸びやかな音色が夜空にまで届くような「コンドルは飛んでいく」でフォルクローレの醍醐味を堪能させてくれたり…。そして、「楽しくて元気が出る曲。そして、僕自身をこれまでずっと、励ましてくれた曲」というオリジナル曲「ピヨピヨ」で会場を沸かせてプログラムは終了。ここで「お約束」ではない、本当に心から賞賛の意味を込めたアンコールの拍手が岳朗さんに盛大に向けられて、「なんだか200人ぐらいの人からもらっているみたいに凄い拍手で、なんだか本当に嬉しいです」と、岳朗さんらしい言葉でアンコールへ。心の琴線を揺さぶるサンポーニャの音色から始まる優しいメロディの曲「天上の島」を切々と歌いあげて、感動的な余韻を残しながらコンサートは終了しました。 思えば、初めて会ったころの岳朗さんはまだ30代のなかばぐらいで、音楽ももっとエネルギッシュに弾んでいて、フォルクローレを、まるでポップスを聴くように身近に届けてくれている姿が、僕の記憶の中にはありました。でも今回は、様々な人生の起伏を越え、音楽家としても舞台音楽や芝居のテーマ音楽など、難所に挑み、乗り越えてきた人ならではの円熟した世界観を、僕らにたっぷりと示してくれました。年を重ねるごとに味わい深さを増していく、ビンテージワインのような岳朗さんの音楽を、これからもずっと、一定期間ごとに楽しんでいけたらいいなと思います。 |